7月10日の日記

2009年7月10日
図書館の帰り、眠気まなこでいつもの様にバスへ乗り込んだ。
図書館閉館間近の時間帯は、リーマンラッシュや学生さんの帰宅時間、
それに俺の様な図書館パラサイトの帰還時間が重なって、いつも混雑している。
ゴミゴミした停留所の端で、今日を思い返しながらぼんやりしていると
どうやら今日はツイていたらしく、どうぞと言わんばかりに俺の前でバスが停車した。
珍しいこともあるもんだ、その上席を無事に確保出来るなんて。


そうやって乗り込んだバスに暫く揺られていると、何やら肩に重いものが・・・。
視線を向けてみると女子高生がうつろうつろしながら、小振りな頭を俺の肩に預けていた。
わー、JKだJK、生JK。なんて歪んだ見方をしてしまうあたり、自分も歳を取ったもんだと実感した。
しかし何だか良い香りするよ、JKって。発する微かな芳香が、俺をほわんほわんとさせる。
彼女の香りに気をとられていると、ばっと彼女が頭をもたげきて、偶然にも視線が合ってしまった。

「ごめんなさいっ!」と照れながら目を逸らすJK。
眼鏡良し!髪形良し!!口調良し!!!と査定する俺。
照れてる様がなんだか可愛かったので、ほんのり暖かい肩をちょんと指差して、
「よければ、どうぞ」と営業スマイルで言ってのけた。内心ガッツポーズ。
「やぁ~・・・」と申し訳ないやら照れているやら、見ていて微笑ましい表情をしていた彼女も
最後には「それじゃあお邪魔します」と、再び肩に頭を預けてきた。
ええ子や、この子多分ええ子や・・・。

肩と腕が密着し、ごとんと揺れる度、零距離が更に圧縮されていく。
肌と肌の擦れる感触、圧迫され、熱がこもる感覚。
そういえば、人肌に触れたのは一ヶ月ぶりかもしれない。
最近は他人の指の一本さえ触れていなかった。
久しぶりに触れた人肌は随分と柔らかで、一緒に寝入ってしまいそうな程優しかった。
そんな感覚に包まれながら、ふと、ぼんやり遠くのあの人の事を思い返してしまった。
きっと隣の子と同年代であろう、彼女の事を。少し、恋しいのかもしれない。
そこに居るのが彼女であればと、隣の人影に彼女の姿を幾度も重ねた。


そうこうする内にバスのスピーカーは、馴染みのある停留所の名前を
朗々と読み上げ、名残惜しさと人恋しさを押し付けたまま、
コンクリートの上に僕を預けて、ぶるんと停留所を去っていった。

今も微かに感触が名残惜しそうに残っている。
諦念まじりに吐き出したため息は、いつもより少しだけ心地が良かった。

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